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そう?うつ?何それ美味しいの?

~躁とうつの波を穏やかに乗りこなすためのコツ~

東大病院「こころの検査入院」を受けてみた

東大病院で実施している「こころの検査入院」を2014年に受けました。その体験談について紹介したいと思います。ひとことで言うと「絶対的ではないけど、客観的な診断が欲しければ受けるべき!」です。

 こころの検査入院 | 東京大学医学部附属病院

 

費用は7万円くらいかかりますが、健康保険組合が療養費の払い戻しがあるかもしれません。私の場合は3万円強の払い戻しが後日あり、実質負担は4万円弱でした。療養費の対象となるか否かは所属する健康保険組合へお問い合わせ下さい。

 

はじめに

メンタルヘルス不全になった方は精神科や心療内科にかかり、何かしらの診断名を言い渡されます。でもそこで、本当にうつ病なの?双極性障害なの?統合失調症なの?発達障害なの?と、一度は疑問に思うかと思います。1年以上寛解しない方は特に。

通常、病院では、客観的な評価尺度(DSM-IVなど)と、医師の主観によって診断名が決まります。そこで誤ると延々と寛解しない治療を受け続けることになりかねません。薬を変えたり、転院される方は、そこが気になっているのだと思います(私も2回転院変更しました)。最近は客観評価である、光トポグラフィー検査(NIRS)を受けられる病院もあるようですが、そういった患者さんの不安を反映しているのではないでしょうか。

そういった不安を持つ患者さんに、多角的、客観的検査をし、診断する「こころの検査入院」が求められているのだと思います。

検査内容と結果

こころの検査入院 | 東京大学医学部附属病院から検査内容を引用します。

トポグラフィー(NIRS)検査・・・うつ症状の原因疾患診断補助(注)この検査は診断の確定や治療をするものではありません。
CT・脳波検査・・・器質性精神疾患の除外診断
血液検査・心電図・X-P検査・・・合併症の除外、評価
SCID(精神科診断面接)・・・詳細な症状の評価
心理検査(WAIS-R、MPI、SCTなど)・・・状態評価   など

検査を受けた結果、私の診断名はうつ病から、双極性障害II型になりました。主に、SCID、および光トポグラフィーの検査結果で、双極性障害寄りであることが診断されました。なお、知り合いで光トポグラフィー検査の波状が、どの症状とも付かないという方もいるので、万全というわけではありません。

検査を受けるまでの経緯

検査を受けるまで2011年にうつ病と診断されてから2014年まで、SSRIパキシルから三環系のノリトレンに変更して治療を続けてきました。しかし、ノリトレンにしてから躁転傾向があるということ主治医から伝えられ、炭酸リチウムを服用し、精神的にある程度安定しました。うつ病とも双極性障害ともつかない状態を長く続けてきたところに、主治医から東大病院の「こころの検査入院」を紹介され、受けることにしました。

受けようと決意したのは、

  • うつ病とも双極性障害ともつかない状態が気持ち悪い
  • 診断名が違うなら、今の薬の組み合わせも変更になるかもしれない
  • 薬を変えられれば、より状態が良くなるかもしれない

という理由からでした。
特に、自分が「うつ病なんだけど、ノリトレン躁転した」のか、「そもそも双極性障害なんだけど、今はうつ状態が出ている」のかはっきりさせたいという思いが強かったからです。

東大病院での体験談

外来受診

入院検査できる状態か、必要があるかを診てもらうために、8月中旬に紹介状を持参して受診しました。この時は簡単なやりとりがあるだけでした。
と簡単に書きましたが、ここに大きなハードルがあります。主治医からの紹介状が必要だということです。つまり、こころの検査入院を受けるということは、「主治医の診断を患者として疑わしいと思っています」もしくは「主治医として診断に自信がないんです」という前提で、診断書を書いてもらうようなものだと、私は理解しています(曲解かもれませんが)。前者の場合に自分から言い出すのは、主治医に対して心苦しいかもしれませんね。
私の場合は主治医が「好奇心旺盛」で、私もそうなので、試験的な療法などをこれまでやってきたという(謎の)信頼関係がありました。それで先生から「受けてみる?」という問いかけに「あ~いいですね~」という返しで受けることにしました。

入院日程の調整

外来受診をした時点で入院日は確定しません。その後連絡待ちとなるのですが、渡しの場合、10月まで連絡がなく、こちらから電話して予約を取り付けました。忙しいのは分かるのですが、長期間連絡がないと悲しくなりますね。

入院手続き

受付で入院手続きをして、精神科の閉鎖病棟に医師と行くことになります。病室に着くと、同意書や、入院生活の手引など、書類を渡されるとともに、その内容の説明が一通りされます。最後は同意書に署名して、入院のための作業は終わります。

検査スケジュール

詳細は東大病院の公式Webサイトに譲りますが、概ねスケジュール通りに進みます。
若干困るのが、検査が始まる正確な時刻が直前までわからないことです。入院は閉鎖病棟で、他の患者さんもいらっしゃいます。また、緊急入院の患者さんもいらっしゃいますので、細かい時刻が設定できないことはしかたのないことだと思います。

行動の自由

空き時間は基本的に何をしていても自由です。スマートフォンやPCを持ち込むも良し、読書をするも良し、他の患者さんに迷惑をかけない範囲なら問題ありません。基本料金では相部屋になります。私は一番安い個室を選びましたので、本当に自由でした。相部屋に比べて料金は数千円しか変わらないので、個室の方が疲れなくていいかもしれません。なお、個室が選べるかどうかは、混雑具合によりますので、先に問い合わせることをお勧めします。

一方で、先に述べた通り、閉鎖病棟での入院になりますので、他の患者さんにストレスにならないよう気をつける必要があります。なお、閉鎖病棟と言っても、夜間に鍵がかかる程度で、日中は出入りの管理簿に氏名と時刻を書けば出入りは自由です。院内のローソンでプリンを買ってもいいですし、散歩に出かけるのもいいでしょう。

緊張の連続

機械での検査は単純で楽なのですが、医師や臨床心理士による面接を中心とした検査は、そうはいきません。口頭でのやりとりが1時間とか平気で続きますので、かなり疲れます。その時点ではそうでもなくても、夜にどっと来ます。「あぁ、これだから入院が必要なんだな」と思った覚えがあります。

問診での気付き

問診では生育歴や病歴、そううつのエピソードなどをヒアリングされました。これを通じて、過去の衝動的な行動や、疲れを感じないなどのエピソードを思い出し、ノリトレン服用前から「そう傾向」があることに気付きました。

おまけ:1日目の試練

1日目の夕方には、心理検査のための事前記入書類が大量に渡されます。私は完璧主義的なところがありますので、記入に3~4時間かかったと思います。普通に記入しても1時間では終わらないでしょう。自筆で論文書いているようなもので、正直、PCで記入したかったです。

検査結果

被験者向け

各種検査が終わった4日目の午前に診断結果が医師から告げられます。その際、被検者向けに「心理検査についてのフィードバック」を書面で受け取り、医師からの説明があります。内容は性格傾向、それを基にしたアドバイスが中心です。診断名は医師から口頭で告げられ、あっさりとしたフィードバックで驚いてしまいました。

主治医向け

詳細は主治医向けの検査結果に記されています。主治医から知らされた内容は、

  • 検査結果の要約(病名、診断に至る考察)
  • 被検者からのヒアリング内容
  • 各種既往症、および考えられる病気の可能性の考察
  • 客観的な検査結果
  • 臨床心理士による(主観的な)検査結果

 などです。被検者向けに比べると、恐ろしく内容の濃いものです。これだけ検査し、考察していれば、かなり客観性の高い、正確な診断ができるのではないかと思いました。

検査後

主治医と相談しましたが、その時点で処方されている薬から変更することはありませんでした。検査結果には「ノリトレンを内服しているが、双極性障害の診断から臨床的に効果がなければ中止は可能である」との記載がありました。「やっぱりノリトレン躁転のきっかけだったのかもしれない」と思いましたが、状態が安定していたため、変更しませんでした。

それから2年ほど経って、著しくイライラや食欲の増加が発生したことをきっかけにノリトレンの服用を中止し、心が穏やかになりました。明らかに気分が治まったと感じる一方、気分の高揚が少なくなったことを残念に思う部分もありました。しかし、今回の検査がなければ、中止するという判断はなかったのではないかと思っています。

私以外の体験談

Googleで検索すると、あまりにも体験談がないことに驚きました。被検者は少なくないはずなんですが、文章に書き起こす方が少ないのでしょうね。そんな中で以下のレポートを見つけました。

ameblo.jp

このレポートについて批評はしません。このような例があるということだけ紹介します。

終わりに

長い文章に付き合っていただきありがとうございました。私の場合はわかりやすい結果でしたが、他の方にとっては重大なことが判るかもしれません。療養は時間もお金もかかります。1年掛けても寛解しない方は、疑問に思いながら無駄に費やす前に、一度受けてみることをお勧めします。